親の介護費用、誰がどう出す?──兄弟でもめないために「元気なうちに話す」お金のこと

「親の介護、いざとなったらお金は誰が出すんだろう?」。考えたことはあっても、なかなか口に出せないテーマです。兄弟姉妹の間で「なんとなく」のまま進んでしまい、あとから“お金のことでギクシャク”するのは、実はとてもよくある話。でも、いちばんの予防策はシンプルで、親が元気なうちに、少しだけ話しておくことです。今日は、その最初の一歩をやさしく整理します。

目次

この記事でわかること

  • 介護でかかるお金の、おおよその目安
  • 「誰が出すか」でもめやすいポイントと、その防ぎ方
  • 元気なうちに、家族で話しておきたいこと

「お金の話、切り出しにくい」その気持ち、よくわかります

「まだ元気な親に、お金の話なんて縁起でもない」「兄弟で費用の話をすると、なんだか気まずい」「自分だけ負担が偏らないか不安」。こんな気持ち、よくわかります。お金の話は、心配しているからこそ切り出しにくいもの。でも、話しておかないまま介護が始まると、判断も負担も一気に重なります。まずは「話しておくのは、みんなを守るため」と考えるところから始めましょう。

まず確認:介護のお金と、公的な支えの目安

介護にかかるお金は、一般的な目安として次のように言われています(出典:生命保険文化センター 生活保障に関する調査)。もちろんご家庭によって大きく変わりますが、「まったく見当がつかない」状態から「ざっくりの目安を持つ」だけで、不安はぐっと和らぎます。

項目平均の目安ひとこと
一時的な費用(住宅改修・介護ベッド等)約47万円最初にまとまって出やすい
毎月かかる費用約9万円期間が長いほど積み上がる
介護の期間平均5年前後人により大きく差がある
※生命保険文化センターの調査による平均の目安。実際はご家庭により大きく変わります。

さらに、公的介護保険の自己負担には「高額介護サービス費」という上限があり、一定額を超えた分はあとで戻ってきます(出典:厚生労働省)。つまり、青天井で費用がかかり続けるわけではありません。まずは、この“土台”があることを知っておくだけで大丈夫です。

FPの考え方:まずは「親のお金で、親の介護を」

ご家庭によって考え方は変わりますが、FPの視点でお伝えしているのは、介護費用は原則「親自身のお金」でまかなうのが基本ということ。子世代が自分の家計や教育費を削ってまで背負うと、共倒れになりかねません。だからこそ、元気なうちに「親のお金がどこに・どれくらいあるか」を、ざっくりでいいので共有しておくことが大切です。そのうえで、足りない部分をどう分担するかを、兄弟姉妹で先に話しておく。順番はこれだけで、多くのもめごとは防げます。

元気なうちに、家族で話しておきたい3つ
お金の置き場所:預金や年金がどの口座にあるか(金額は無理に聞かなくてOK)
毎月の収入:年金や家賃収入など、介護費にまわせる“定期的なお金”
役割の分担:お金・手続き・通いなど、誰が何を担当するか
※話し合いの一例です。全部を一度に決めなくて大丈夫。

モデルケース:親の介護に直面した40代兄弟の場合

長男40歳(会社員)と長女37歳(共働き)、離れて暮らす母75歳のケース。母の介護が始まったとき、預金がどこにあるか誰も把握しておらず、当面の費用を兄妹が立て替え。「自分ばかり出している気がする」というモヤモヤが生まれてしまいました。→ この場合、金額の多さより「見えないまま進んだこと」が、いちばんの負担になっていました。もし事前に、母のお金の置き場所と役割を軽く話せていれば、立て替えも不公平感も避けられたはずです。

よくある誤解

誤解①「介護費用は、子どもが負担するのが当然」
→ 原則は親自身のお金からです。子世代が自分の生活を削ると、次の世代にしわ寄せがいきます。

誤解②「同居している人がぜんぶ見ればいい」
→ お金・手続き・通いなど、負担は目に見えにくいもの。役割を分けて“見える化”するほうが長続きします。

誤解③「相談する場所がない」
→ お住まいの地域包括支援センターが、介護の最初の相談窓口です。ひとりで抱え込まなくて大丈夫です。

確認してほしい3つのポイント

今日できることをひとつだけ挙げるなら、親と「もしものとき、お金はどうする?」と一度だけ話題にしてみることです。金額を細かく聞き出す必要はありません。「置き場所だけ、家族で分かるようにしておこうね」——これが言えたら、もう大きな一歩です。

  1. 親のお金の「置き場所」だけ、家族で共有しておく(←まずはここだけ)
  2. 余裕があれば、兄弟姉妹で役割の分担をゆるく決めておく
  3. さらに余裕があれば、地域包括支援センターの場所を調べておく

あわせて読みたい

介護費用の全体像をつかみたい方は親の介護、お金はどれくらい?を、負担を軽くする公的な制度は高額介護サービス費と介護休業給付のまとめもあわせてどうぞ。

このテーマの全体像は〈相続・終活ガイド〉にまとめています。


のどかFP事務所からの一言

介護のお金は、「話しておくこと」そのものが、いちばんの備えになります。もめごとの多くは、金額ではなく“見えないこと”から生まれるからです。私たちは特定の金融商品を販売しない、中立的な立場のFP事務所です。「どう切り出せばいい?」「うちの場合はどう分担する?」といった、家族では話しにくいところこそ、間に立ってお手伝いできます。相続・終活ガイドもあわせて、話しやすいところからで大丈夫です。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次