法定後見制度とは?──任意後見とのちがいと、「判断力が下がる前」に知っておきたいこと

目次

この記事でわかること

  • 「法定後見制度」とは何か、どんなときに使うのか
  • 元気なうちに準備する「任意後見」とのちがい
  • 親の判断力が下がる前に、家族でできる小さな一歩

「親が認知症になったら、お金の管理はどうなるんだろう」
「後見制度って聞くけど、むずかしそうでよくわからない」
「うちはまだ元気だから、先の話でいい気がして…」

こんな気持ち、よくわかります。「後見制度」は名前は聞くけれど、中身は知られていないことが多い仕組みです。この記事では、そのなかでも中心となる法定後見制度を、やさしく整理していきます。むずかしい手続きの話は、いったん脇に置いて大丈夫です。

法定後見制度とは?──「判断が難しくなってから」支える仕組み

法定後見制度は、認知症などで判断する力が十分でなくなった後に、家庭裁判所が本人を支える人(成年後見人など)を選ぶ制度です。本人の代わりに預貯金を管理したり、契約や手続きを行ったりして、財産と暮らしを守ります。

最高裁判所の「成年後見関係事件の概況(令和7年)」によると、成年後見制度を利用している人は全国で約26万人。そのうち、元気なうちに自分で備える「任意後見」はわずか約2,833人で、大多数は法定後見です。利用のきっかけ(開始原因)は認知症が61.3%と最も多く、申立ての動機は「預貯金等の管理・解約」が93.4%を占めています。(出典:最高裁判所 成年後見関係事件の概況

法定後見は3つのタイプに分かれます

本人の判断力の状態によって、支え方が3つに分かれます。あてはまるものを選ぶ、というより「こういう段階があるんだな」と知っておくだけで十分です。

タイプ対象となる状態支える人
後見判断力がほとんどない成年後見人
保佐判断力が著しく不十分保佐人
補助判断力が不十分補助人
※家庭裁判所が本人の状態に応じて決めます。
法定後見の3つのタイプ(後見・保佐・補助)

FPの考え方:「任意後見」とセットで知っておくと安心

法定後見と対になるのが任意後見です。ご家庭によって合う形は変わりますが、両者のいちばんの違いは「いつ・誰が決めるか」です。

任意後見は、元気なうちに、自分で「誰に何を任せるか」を決めておく仕組み。法定後見は、判断が難しくなってから、家庭裁判所が選ぶ仕組みです。実際、法定後見では成年後見人の約83.6%が家族以外の専門職(司法書士・弁護士など)で、親族が選ばれるのは16.4%にとどまります。「知らない専門家に任せることになる前に、選べる自由がある」——それが任意後見のよさです。

任意後見と法定後見、いちばんのちがい
任意後見
元気なうちに
自分で決める
誰に何を任せるかを選べる
法定後見
判断力が下がって
から裁判所が選ぶ
約8割は家族以外の専門職
※一例です。出典:最高裁判所 成年後見関係事件の概況(令和7年)。

モデルケースで見てみましょう

たとえば、70代の母とひとり暮らし。ある日、母が認知症と診断され、本人名義の預金が引き出しにくくなったとします。介護施設の費用を母の口座から払いたくても、家族というだけでは動かせません。こうしたときに、法定後見を申し立てて成年後見人を選んでもらうことで、預金の管理や支払いができるようになります。

→ この場合、「困ってから」申し立てるため、後見人を家族で選べないことが多いのが課題です。もし元気なうちに任意後見の準備をしていれば、信頼できる人に頼んでおけた、というケースです。

よくある誤解

誤解①「家族なら親のお金を自由に動かせる」
→ 認知症などで判断力が下がると、家族でも本人名義の預金は原則動かせなくなります(いわゆる資産凍結)。

誤解②「後見人は必ず家族がなれる」
→ 実際は約8割が家族以外の専門職です。家族を希望しても、裁判所が別の人を選ぶこともあります。

誤解③「元気なうちは何もできない」
→ 逆です。元気な今だからこそ、任意後見や家族での話し合いなど、選べる準備ができます。

今日、確認してみたい3つのこと

いちばん小さな一歩は、「親(または自分)の口座が、いざというとき誰が管理するか」を一度考えてみることです。答えを出さなくて大丈夫。考えてみるだけで、次にやることが見えてきます。

  1. もしものとき、親の口座を誰が管理するかを考えてみる
  2. (余裕があれば)法定後見と任意後見のちがいを家族に共有する
  3. (余裕があれば)任意後見という選択肢を一度調べてみる

まとめ

  • 法定後見は「判断が難しくなってから」家庭裁判所が支える人を選ぶ制度
  • 利用の多くは認知症がきっかけで、後見人の約8割は家族以外
  • 元気な今なら、任意後見という「自分で選ぶ」道もある

「まだ先の話」と感じていた方へ。その準備を今から少しずつ、で大丈夫です。実はもう、この記事を読んだ時点で半分できています。


あわせて読みたい

自分で備える方法は任意後見制度とは?で、資産凍結そのものの仕組みは親が認知症になるとお金が凍結されるって本当?でくわしく解説しています。

このテーマの全体像は〈親のこと・相続ガイド〉にまとめています。


のどかFP事務所からの一言

のどかFP事務所は、特定の商品を販売しない中立的な立場で、親の介護やお金の備えを一緒に考えています。後見制度は「困ってから」だと選べる余地が少なくなりがちです。元気な今だからこそできる準備を、やさしくお手伝いします。気になる方は無料相談で気軽にお声かけください。

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