家族が亡くなった直後、銀行口座は止まる──葬儀代や当面のお金、どう備える?

目次

この記事でわかること

1. なぜ家族が亡くなると預金口座が凍結され、すぐに引き出せなくなるのか

2. 国の「預貯金払戻し制度」でどこまで対応できるか(上限額・条件)

3. 手数料がかからない「遺言代用信託」という備えの仕組みと、向いている場面


「葬儀代くらい、すぐ親の口座から出せるよね?」

「親にもしものことがあったら、まず何にお金がかかるんだろう」

「葬儀代は、とりあえず親の通帳から出せばいいと思っていた」

「相続の手続きって複雑そうで、なんとなく後回しにしている」

こんな気持ち、よくわかります。多くの方が、いざその場面になって初めて「あれ、口座からお金が下ろせない」と気づかれます。

今日お伝えしたいのは、不安をあおる話ではありません。むしろ「仕組みを知っておけば、あわてずに済む」というお話です。一緒に、国の制度と備え方を見ていきましょう。


まず知っておきたい「口座凍結」の仕組み

口座の名義人が亡くなり、銀行がそれを把握した時点で、その口座は凍結されます。病院や役所が銀行に連絡することはなく、多くの場合はご遺族からの申し出がきっかけです。

凍結が解除されるまでには、故人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍や印鑑証明、金融機関所定の相続届などを揃えて提出する必要があります。書類審査には通常2週間〜1か月程度、相続人が複数いる場合はさらに時間がかかることも珍しくありません。

その間に必要になるのが、葬儀の費用です。民間の調査(鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査」2024年)では、葬儀費用の全国平均は約118.5万円。家族葬で約105.7万円、一日葬で約87.5万円が目安とされています(※調査機関によって金額に幅があります)。

そこで国が用意しているのが「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」です。2019年7月から始まった制度で、遺産分割が終わる前でも、相続人が一定額までを単独で引き出せます。引き出せる金額は口座ごとに「相続開始時の預金額 × 3分の1 × その相続人の法定相続分」、そして同じ金融機関からの上限は150万円です(出典:全国銀行協会)。


FPの視点で整理する「現金で困らない備え」

まず確認したいのは、相続の手続きには時間がかかるという前提です。

国の払戻し制度は心強い仕組みですが、利用には戸籍などの書類が必要で、即日というわけにはいきません。上限額も決まっています。一般的な目安として、FPの視点では「手続き中でも、当面の現金が確保できる入口を一つ持っておく」と安心です。

その選択肢の一つが「遺言代用信託」です。生前に信託銀行へお金を預けておき、亡くなったあと、あらかじめ指定した家族へすぐに払い出される仕組みです。預けたお金は相続財産とは切り離して扱われるため、口座凍結や相続手続きの完了を待たずに受け取れます(参考:信託協会)。

多くの商品で販売時・管理中の手数料がゼロ、元本保証つきという点も特徴です。もちろん、ご家庭によって資産の内容も家族構成も違いますので、必要かどうかの考え方は変わります。


モデルケースで見る「もし、何も備えていなかったら」

具体的にイメージしてみましょう。

【設定】長女・あかりさん(38歳・会社員)/父・78歳が急逝/母・75歳は健在

父の預金は1,200万円。葬儀費用は約120万円かかりそうです。

父の口座は凍結され、すぐには引き出せません。あかりさんが国の払戻し制度を使う場合、引き出せるのは「1,200万円 × 1/3 × あかりさんの法定相続分1/4」で約100万円(母が2分の1、子2人で残り2分の1を分けるため、子1人の相続分は4分の1)。葬儀費用120万円には少し届きません。

母も別途利用できますが、いずれも戸籍を集めてから手続きするため、お金が手元に届くまで数週間かかることもあります。その間は誰かが立て替える必要が出てきます。

→ もし父が生前に遺言代用信託で150万円を預け、受取人をあかりさんに指定していれば、亡くなった直後でも葬儀代として速やかに受け取れた、という違いが生まれます。

※金額・相続分は設定上の試算です。実際は家族構成や遺産の状況によって変わります。制度の内容も将来改定される可能性があります。


よくある誤解・注意点

誤解①「家族なら、亡くなってもすぐお金を下ろせる」

→ 実際は、銀行が死亡を把握した時点で口座は凍結されます。家族であっても、相続手続きが終わるまでは自由に引き出せません。

誤解②「遺言書を書いておけば、口座はすぐ動かせる」

→ 遺言書があっても、手続き中の口座凍結は続きます。遺言代用信託に預けたお金は相続財産から切り離されているため、手続きとは別にすぐ払い出せる、という点が異なります。

誤解③「遺言代用信託と遺言信託は同じもの」

→ 名前は似ていますが別の商品です。「遺言信託」は遺言書の作成・保管・執行をサポートするサービスで、数十万円の費用がかかります。「遺言代用信託」は亡くなった直後の現金確保が目的で、手数料はほぼかかりません。


確認してほしい3つのポイント

  1. 親(または自分)が亡くなったとき、当面の現金を誰がどう用意するかを一度話してみる
  2. 国の「預貯金払戻し制度」の上限額(150万円)と必要書類をざっくり知っておく
  3. すぐに必要になるお金(葬儀・お墓・当面の生活費など)を、一度書き出してみる

まとめ──「あわてないための準備」を一歩だけ

最後に要点を整理します。

  • 家族が亡くなると口座は凍結され、手続き完了まで通常1〜2か月、お金を動かせない
  • 国の払戻し制度は使えるが、上限150万円・書類・時間という制約がある
  • 「遺言代用信託」は手数料ほぼゼロで、亡くなった直後の現金確保に向いた選択肢の一つ

もう少しこうした「知っておくと安心なお金の話」に触れてみたい方は、まず公式LINEで気軽に情報を受け取っていただけます。ご家庭の状況にあわせて具体的に整理したい方は、無料相談もご利用いただけます。

関連記事もあわせてどうぞ:「親が認知症になると“お金が凍結される”って本当?」「親の終活、子世代がまず何をすべきか」。


のどかFP事務所からの一言

私たちは特定の金融商品を販売しない、中立的な立場のFPです。だからこそ「これを買うべき」ではなく、「あなたのご家庭に合うのはどれだろう」と一緒に考えることを大切にしています。

亡くなったあとのお金の話は、つい先延ばしにしがちです。でも、こうした備えは“元気な今”だからこそ準備できるもの。「うちの場合は、どんな備えが合っているだろう?」と、ご家族で話すきっかけにしていただけたら嬉しいです。

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出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の商品の購入を勧めるものではありません。制度・金額は2026年6月時点の情報です。

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