老後資金はいくら必要?──「平均」の数字に振り回されず、わが家の「見える化」から始める

「老後資金は2000万円必要」――そんな言葉を耳にして、ドキッとしたことはありませんか。共働きで子育て中の今は、目の前の生活や教育費でせいいっぱい。老後のことまで手が回らない、という方も多いと思います。でも、実はその「2000万円」という数字、そのまま気にしすぎなくて大丈夫なんです。この記事では、最新の公的データをもとに、老後のお金を「わが家サイズ」で見える化する考え方を、やさしく整理します。

目次

この記事でわかること

  • 老後の家計が「毎月いくら不足するか」の最新の平均データ
  • 「老後2000万円」という数字が、なぜそのまま当てはまらないのか
  • わが家に必要な額を見える化する、いちばん小さな一歩

まず、公的なデータを見てみましょう

総務省の「家計調査(2024年)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、1か月の実収入が約25万3千円、支出が約28万7千円。差し引きで毎月およそ3万4千円の赤字という結果でした。多くのご家庭が、年金を土台にしながら、足りない分を貯蓄から少しずつ取り崩して暮らしている、というのが平均的な姿です。

項目月あたりの金額
実収入(年金など)約 25.3万円
支出(消費+税・社会保険料)約 28.7万円
不足額(赤字)約 3.4万円
高齢夫婦無職世帯の平均的な家計収支(総務省「家計調査」2024年)
老後の1か月の収入と支出(平均のイメージ)
収入(年金など)
25.3万円
支出
28.7万円
差額の約3.4万円が、毎月の不足分。※一例です。

「2000万円」はどこから来たの?

よく聞く「老後2000万円」は、2019年に金融庁の審議会が示した試算がもとになっています。当時は「毎月およそ5万円の赤字が30年続くと、約2000万円になる」という前提でした。でも、赤字の額は年によって変わります。先ほどの2024年のデータ(毎月3.4万円)で同じ30年を計算すると、約1,220万円。前提が変われば、必要な額も大きく変わるのです。

FPとしての考え方――「平均」より「わが家」

大切なのは、平均の数字に一喜一憂しないことです。老後にいくら要るかは、「毎月の生活費」と「受け取れる年金」の2つで決まります。持ち家か賃貸か、年金がいくらか、どんな暮らしをしたいか。ここが一人ひとり違うので、平均はあくまで“ものさしの一つ”。まずは、わが家の数字に置き換えてみることが、いちばんの近道です。

モデルケースで考えてみましょう

たとえば、35歳・共働きのご夫婦(お子さん2人)の場合。今すぐ老後資金を満額用意する必要はありません。老後まで約30年あるということは、「毎月コツコツ」がとても効く時間があるということ。仮に毎月1.5万円をNISAなどで25年間積み立てると、元本だけで450万円。ここに年金という土台が加わります。遠い2000万円を一度に見るのではなく、「今できる毎月」に分解するのがコツです。

よくある誤解

「2000万円ないと老後は危ない」と思い込む必要はありません。年金は、生きているかぎり受け取れる大切な土台です。不足分をすべて自分で用意するのではなく、「年金でまかなえる部分」と「自分で備える部分」を分けて考えると、必要額はぐっと現実的になります。不安をあおる数字ほど、前提を確かめることが大事です。

確認してほしい3つのポイント

  • ①「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、将来の年金の見込み額をのぞいてみる
  • ② いまの生活費のうち、老後も続きそうな金額をざっくり書き出す
  • ③ 足りなそうな分を「毎月いくらなら備えられるか」に分解する

まとめ――いちばん小さな一歩

老後資金は、「2000万円」という遠いゴールで固まってしまうより、わが家の数字に置き換えるほうがずっと動きやすくなります。今日のいちばん小さな一歩は、「ねんきん定期便」を一度ひらいて、将来の年金額をながめてみること。それだけで、必要な備えの大きさが半分見えてきます。その感覚で大丈夫です。あとは毎月に分けて、少しずつ。

あわせて読みたい

老後の「貯めたお金の使い方」についてはもう一つの老後2000万円問題を、年金の受け取り方については公的年金のしくみもあわせてどうぞ。

このテーマの全体像は〈ライフプランガイド〉にまとめています。


のどかFP事務所からの一言

のどかFP事務所は、保険や金融商品を販売しない中立的な立場のFPです。老後のお金は、遠くの大きな数字におびえるものではなく、「見える化」して毎月に分ければ、ちゃんと手の届くものになります。まずはわが家の年金から、いっしょに一歩ずつ確かめていきましょう。

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