「ゼロ活」ってなに? お金を“使いどき”から逆算して、人生を楽しむ考え方

この記事でわかること

・「ゼロ活(お金を使い切る発想)」がどういう考え方なのか

・貯めるだけでは見えてこない「お金の使いどき」の考え方

・安心の土台を残しながら、後半の人生を楽しむための最初の一歩


「老後が心配だから、とにかく貯めておかなきゃ」

「気づけば節約がクセになって、使うのがちょっと怖い」

「せっかく貯めたお金、いつ使えばいいのかわからない」

こんな気持ち、よくわかります。

将来の安心のために貯める——これはとても大切なことです。いっぽうで、「貯めること」そのものが目的になってしまい、いつまでも使えないまま、というお声もよく聞きます。

最近、新聞などで「ゼロ活」という言葉を見かけた方もいるかもしれません。今回は、この「お金を使いどきから逆算する」という考え方を、のどかFP事務所らしく、やさしく整理してみます。

目次

「ゼロ活」ってどういうこと?

「ゼロ活」は、もともと『DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)』という本で広まった考え方がベースになっています。ざっくり言うと、「お金は貯めることが目的ではなく、やりたいことを叶えるための手段。だから“使いどき”を意識して、経験にお金を回そう」という発想です。

「全部きれいに使い切りましょう」という極端な話ではありません。大切なのは、貯める一方だった目線に「使う」という視点を足してみることです。

元気に動ける時間には、限りがある

なぜ「使いどき」が大事なのでしょうか。ひとつのヒントが、公的なデータにあります。

厚生労働省によると、2022年(令和4年)の健康寿命(日常生活に制限なく過ごせる期間の目安)は、男性72.57歳・女性75.45歳。いっぽう平均寿命は男性81.05歳・女性87.09歳です。その差は男性で約8.5年、女性で約11.6年になります。(出典:厚生労働省)

平均寿命と「健康寿命」の差(2022年)
男性
約 8.5 年
平均寿命81.05歳 − 健康寿命72.57歳
女性
約 11.6 年
平均寿命87.09歳 − 健康寿命75.45歳
※厚生労働省(令和4年)のデータをもとに作成。あくまで平均値の一例です。

これは「不安をあおる数字」ではなく、「元気に旅行に行ったり、やりたいことに動ける時間は思ったより有限」ということを教えてくれる目安です。同じ10万円でも、元気なうちに使う10万円と、そうでないときの10万円では、得られる経験が変わってきます。

「使えないまま残っていく」お金は、意外と多い

もうひとつ、興味深いデータがあります。内閣府の資料によると、世帯主が60歳以上の世帯が、日本の家計金融資産全体の6割超を保有しています。しかも、高齢期に入っても預貯金はあまり取り崩されず、残高が大きく減らない傾向があるとされています。(出典:内閣府)

つまり、「老後のために」と貯めたお金の多くが、使われないまま次の世代に引き継がれているという実態があるのです。もちろん、のこすお金があること自体は素晴らしいこと。ただ、「使いたかったのに使えなかった」だとしたら、少しもったいないかもしれません。

FPとしての考え方:「使い切る」ではなく「3つに分ける」

「ゼロ活」と聞くと、「貯金をゼロにするなんて怖い」と感じる方が多いと思います。その感覚は、とても健全です。ご家庭によって考え方は変わりますが、一般的な目安として、のどかFP事務所ではお金を“ざっくり3つに分けて考える”ことをおすすめしています。

お金を「3つの役割」で見てみる
1
守るお金
生活費の予備や、医療・介護に備える「安心の土台」。まず確保する。
2
使うお金
「今しかできない経験」に回すお金。旅行・学び・家族との時間など。
3
のこすお金
家族に引き継ぎたい分。あえて意図して残す。
※考え方の一例です。金額や割合はご家庭によって変わります。

ポイントは、①「守るお金」をきちんと決めておけば、残りは安心して「使う」に回せるということ。土台が見えるからこそ、罪悪感なくお金を使えるようになります。「使う」と「守る」は、対立するものではないのですね。

具体的なモデルケースで考えてみる

たとえば、こんなご家庭を考えてみます。

  • 夫:55歳・会社員/妻:53歳・パート
  • 子ども2人は独立間近(社会人・大学生)
  • 金融資産:あわせて2,000万円(一例)

このご家庭が、まず「守るお金」を1,200万円(生活の予備+医療・介護の備え)と決めたとします。すると、残りの約800万円は「使う」と「のこす」で配分を考えられるお金になります。

ここで大切なのは、800万円を「まだ足りないかも」と丸ごと抱え込むのではなく、「元気なうちにしたいこと」に少しだけ色をつけてみること。たとえば「夫婦で行きたかった旅行に、年に一度この予算から」と決めるだけでも、お金の意味が変わってきます。

※上記はイメージをつかむための一例です。実際の必要額は、年金の見込みや生活費によって大きく変わります。将来の運用成績や支出を保証するものではありません。

よくある誤解・注意点

誤解①「ゼロ活=貯金を使い切ること」

→ 違います。まず「守るお金」を確保したうえで、余裕のある部分の使いどきを考える発想です。安心の土台を崩す話ではありません。

誤解②「たくさん残すのが、いちばんの親孝行・愛情」

→ のこすことも立派な選択です。ただ、「元気なうちに一緒に過ごした時間」もまた、家族にとって大きな財産になります。どちらか一方ではなく、バランスで考えたいところです。

誤解③「使いどきを考えるのは、退職してからでいい」

→ 実は、早めに「守るお金の目安」が見えているほど、安心して使えます。30〜40代のうちから「使う・貯める・備える」のバランスを意識しておくと、後半の選択肢が広がります。

確認してほしい3つのポイント

まず、いちばん小さな一歩から。

  1. 「元気なうちにしたいこと」を、ひとつだけ書き出してみる(旅行・習い事・家族との時間など、なんでもOK)
  2. 余裕があれば、「使う予定が決まっていないお金」がいくらあるか、ざっと眺めてみる
  3. さらに余裕があれば、「守るお金(生活の予備・医療介護の備え)」の目安を考えてみる

いきなり全部やらなくて大丈夫です。まずは1番の「したいこと」を1つ書くだけ。それが、お金を「使いどき」から考える第一歩になります。

まとめ+次のステップ

  • 「ゼロ活」は、貯める目線に「使う」視点を足す考え方。使い切ることが目的ではありません。
  • お金は「守る・使う・のこす」の3つに分けると、安心して使えるようになります。
  • 元気に動ける時間には限りがある。だからこそ、まずは「したいこと」をひとつ書き出すところから。

「貯めるだけが正解じゃない気がする」——もしそう感じていたなら、その感覚は合っていることが多いです。実はもう半分、できています。

あわせて読みたい

お金の「使う・貯める・備える」の全体像は「使う・貯める・備えるのバランス」の記事に、使うことへの罪悪感については「使うに罪悪感はいらない|楽しむ予算のつくり方」に、老後資金の考え方は「もう一つの老後2000万円問題(使えない問題)」にまとめています。あわせてご覧ください。

このテーマの全体像は〈ライフプランガイド〉にまとめています。(/information/lifeplan-guide/)

のどかFP事務所からの一言

私たちは、特定の金融商品を販売しない、中立的な立場のFPです。だからこそ、「もっと貯めましょう」でも「もっと使いましょう」でもなく、その方らしいお金の使いどきを一緒に考えることを大切にしています。

お金は、大切なひととの時間や、やりたいことを叶えるための道具です。あなたにとっての「使いどき」は、いつ、どんなことでしょうか?

まず気軽に情報収集したい方は、公式LINEでお役立ち情報を配信しています。具体的に整理してみたい方は、無料相談もご利用ください。

▶ 無料相談:https://nodokafp.com/free-consultation/


出典

  • 厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」(第4回健康日本21(第三次)推進専門委員会 資料)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001363069.pdf
  • 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「平均寿命と健康寿命」https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/hale/h-01-002.html
  • 内閣府「令和6年度 年次経済財政報告」第3章第1節 家計の金融資産投資構造の現状と課題 https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je24/h03-01.html
  • 参考:『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス)
  • 参考報道:日本経済新聞「50歳で始める『ゼロ活』お金使い切り、人生楽しむ逆算テクニック」(2026年6月)

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