
「父の土地が空いているんですが、私たちがそこに家を建てても大丈夫なんでしょうか?」



「とても良いご相談ですね。実家の土地をどう活かすかは、“家族の未来設計”そのものなんです。
税金、相続、住宅ローン、そして家族の関係性まで、名義ひとつで大きく変わります。」
近年、福岡でも「親の土地を活用したい」という相談が増えています。
地価の上昇が続く中、“今の判断”が10年後の相続税額を左右するケースも少なくありません。
この記事では、「贈与」「親名義のまま使う」「相続まで待つ」という3つの方法を、
のどかFP事務所の視点からわかりやすく整理していきます。
第1章:贈与という選択 〜“今”決める未来の安心〜



「贈与って、税金が高いって聞いたことがあって…やっぱり不安です。」



「確かに“贈与”は一度に大きな金額が動くように見えますが、地価が上昇している今だからこそ、“評価を今で固定できる”のは大きなメリットなんですよ。」
たとえば、評価額2,000万円の土地を今贈与しておけば、10年後に3,000万円に上がっても、
増えた1,000万円分には課税されません。つまり“将来の相続税を先取りで節税できる”という考え方です。
📘令和6年改正で進化した「相続時精算課税制度」
2024年から「相続時精算課税制度(STS)」が改正され、
贈与戦略はさらに使いやすくなりました。
- 2,500万円まで非課税(特別控除)
- 毎年110万円の基礎控除が新設
- 少額贈与は申告不要&相続時にも加算されない
つまり、“コツコツ贈与”ができる時代になったのです。
親子で無理なく資産を移しながら、地価上昇リスクを回避できる──
福岡のように地価が伸びている地域では特に効果的です。



「『いま』少しずつ贈ることで、『将来』の負担を優しく減らせるんです。」
第2章:親名義のまま使う 〜思いやりとリスクのバランス〜



「親の名義のままで使えば、税金もかからず安心じゃないですか?」



「確かに初期費用はほとんどかかりません。でも、“使い方”によっては将来トラブルになることもあります。」
親名義の土地を使う場合、「無償で借りる(使用貸借)」と「地代を払う(借地契約)」の2つの方法があります。
🌱使用貸借(無償)しようたいしゃく
- 親の好意で土地を借りる形。
- 税金もローンも一見シンプル。
- ただし、土地の権利は不安定。
- 相続時には「更地」として満額評価されるため、節税効果はなし。



「契約書を作らないままだと、親の相続のときに“兄弟で揉める”ケースも多いです。
🌿借地契約(有償)しゃくちけいやく
- 相場の地代(評価額の3〜5%程度)を支払い、法的な借地権を設定。
- 土地評価額から借地権分(約30〜40%)を控除でき、相続税が軽くなる。
- 一方で、親に地代収入が発生するため、所得税が増える点に注意。



「“地代を払う=親のための節税”と捉えると、家族全体での資産防衛になります。
ただ、地代が安すぎると贈与とみなされるので注意が必要ですね。
どちらの形でも、契約書は必ず作成しておくことがポイントです。
家族間の信頼を“書面”で守る。それが後悔しない土地活用の第一歩です。
第3章:相続まで待つ 〜特例を味方につける〜



「やっぱり、相続のときに名義を変えるのが一番安全なんですか?」



「現時点での費用はかからないので、“負担を先送りする”という意味では安心です。
ただし、“待つ=リスクを抱える”選択でもあります。」
🌸最大の魅力:「小規模宅地等の特例」
相続時に一定の条件を満たすと、土地の評価額を最大80%減額できます。
つまり、2,000万円の土地が400万円評価になることも。これは非常に大きな節税効果です。
しかし、この特例は
- 相続人が継続して居住している
- 期限内に申告している
- 遺産分割が完了している
といった細かい条件をすべて満たす必要があります。
さらに、福岡のような地価上昇エリアでは、「待っている間に評価額が上がる」リスクもあります。



「“特例で80%減る”より、“地価が50%上がる”ほうが早かったら意味がありません。
待つ場合も、シミュレーションが必要なんです。
第4章:うちの家族にとって、いちばん良い選択とは?
土地の活用には“正解”はありません。
大切なのは、「家族の思い」「地域の地価」「資産全体のバランス」をもとに判断することです。
戦略 | 節税効果 | ローン審査 | 初期コスト | 向いている家庭 |
---|---|---|---|---|
贈与 | 評価固定・節税効果大 | 通りやすい | やや高い | 今すぐ家を建てたい方 |
借地契約 | 相続時に節税 | 通りやすい | 中程度 | 親との協力関係が良好な方 |
使用貸借 | 初期負担なし | 厳しい | 低い | 当面は様子を見たい方 |
相続まで待つ | 特例で大幅減額可 | ― | なし | 同居や将来相続を想定する方 |



「“贈与で今決める”のも、“相続まで待つ”のも、家族の思いがあってこそです。
のどかFP事務所では、数字だけでなく、“心の納得”も大切にしています。
第5章:まとめ 〜今の判断が、未来を明るくする〜
親の土地をどう使うかは、「お金の話」であると同時に、「家族の絆の話」でもあります。
放置しておけば固定資産税という負担になりますが、しっかり整理すれば“家族を守る資産”になります。
特に福岡では、地価上昇が続いており、“判断を先延ばしにするリスク”が大きいのが現実です。
だからこそ、今こそ家族で話し合い、専門家と一緒に方向性を決める時です。
🌿 のどかFP事務所からのメッセージ
のどかFP事務所では、
・土地・相続・住宅ローンを含めた総合的な資金計画
・相続時精算課税や小規模宅地特例など最新制度の活用
・家族の気持ちに寄り添う対話型のコンサルティング
を行っています。
「うちの場合はどうなる?」
そんな気軽なご相談からで構いません。
あなたのご家族にとって、いちばん“のどか”な未来を一緒に描きましょう。
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