学資保険は本当に必要?FPが教える“今どきの教育資金戦略”

目次

第1章 学資保険の基本構造と特徴

学資保険とは?教育資金を守る「ハイブリッド型保険」

学資保険とは、子どもの教育費を計画的に積み立てるための貯蓄型の生命保険です。
通常の貯金と違い、「貯蓄」と「保障」を兼ね備えたハイブリッド型の商品で、親(契約者)が子どもの進学に合わせて受け取れるように設計されています。

契約は出産前(出産予定日の140日前)から可能で、長期間にわたり積み立てることで、教育資金の負担を平準化できます。
教育費という「使途が明確な目的資金」を確実に貯める点で、多くの家庭が検討する代表的な手段です。

返戻率とは?リターンの目安を表す重要指標

学資保険を比較する際によく登場するのが「返戻率(へんれいりつ)」です。
これは支払った保険料に対して、満期時に受け取れる金額の割合を示すもので、計算式は次の通りです。

返戻率 = (受取総額 ÷ 払込保険料総額)× 100

例えば、総支払保険料が180万円で受取総額が200万円なら、返戻率は約111%。
つまり、支払った額よりも多く戻るということです。

ただし近年は超低金利時代の影響で、返戻率はかつてより下がっています。
現在の市場ではおおむね100〜120%前後が一般的です。
つまり、学資保険の価値は「増やすため」ではなく、「確実に貯めるため」にシフトしているのです。

保険料払込免除特約:万一の時に“計画が止まらない”安心

学資保険最大の特徴が「保険料払込免除特約」です。
これは、契約者(親)が死亡または高度障害状態になった場合、以後の保険料支払いが免除されるにもかかわらず、満期時には予定通りの金額が支払われるという仕組みです。

この特約によって、親に万一のことがあっても、教育資金の準備が中断することはありません。
他の金融商品では代わりがきかない、まさに“教育費の保証装置”ともいえます。

一般的な定期保険では、遺族が受け取った保険金を自身で管理し、教育費を確保する必要があります。
一方で学資保険では、何もしなくても自動的に教育資金が支払われるため、精神的・実務的な負担を大幅に軽減できます。
これは「お金」だけでなく「心の安心」をもたらす機能です。

返戻率を高める4つのコツ

返戻率は契約条件によって大きく変わります。
少しの工夫でお得になるポイントを押さえておきましょう。

  1. 早期加入:子どもが0歳のうちに始めるほど、積立期間が長くなり返戻率が上昇。
  2. 短期払い:10歳満了など早く払い終えるプランは、運用期間が長くなり有利。
  3. 年払い・一括払い:月払いよりも保険会社の手数料が少なく、返戻率が上がる傾向。
  4. シンプル設計:祝い金や医療特約を省くことで、純粋な貯蓄部分の効率が向上。

これらを意識するだけで、同じ会社・同じ金額でも返戻率が数%変わることがあります。
契約前に「目的に不要な特約を外す」ことが、最も効果的な工夫です。

【まとめ】「守る」ための貯蓄が学資保険の本質

学資保険は、運用で増やすというよりも、「教育資金という目的を守る」ための商品です。
返戻率は決して高くありませんが、計画性・保障性・心理的安心の3拍子を兼ね備えています。

次章では、この“安心の仕組み”が現代のインフレ環境や投資環境の中でどこまで通用するのか、
学資保険のメリットとデメリットをFPの視点から整理していきます。

第2章 学資保険のメリットとリスク

学資保険の4つのメリット

① 強制的に貯められる仕組み

学資保険の最大の特徴のひとつは、「半強制的に貯まる」ことです。
毎月自動で引き落とされるため、貯金が苦手な人でも確実に積立が続けられます。

途中で簡単に引き出せない「流動性の低さ」は、裏を返せば“教育資金を確実に守るための強み”
子どもの進学という明確な目的を達成するうえで、心理的ブレーキとして働きます。

② 元本保証でリスクが極めて低い

契約時に「満期にいくら受け取れるか」が確定しているため、市場変動の影響を一切受けません
株式市場の値下がりや景気後退があっても、受取額は契約どおり。
この“確実性”こそ、学資保険を選ぶ最大の理由の一つです。

リスクを取りたくない方、安定を最優先したい方にとっては非常に相性の良い仕組みです。

③ 万一のときにも教育資金が止まらない

前章でも触れた「保険料払込免除特約」は、万一のときの強力な安全網です。
契約者(親)が亡くなったり重度障害になったりしても、以降の支払いは不要で、当初の満期金はそのまま受け取れます

これは他の金融商品にはない、唯一無二の「目標達成保証」。
親にもしものことがあっても、子どもの教育計画が中断しないという精神的な安心を得られます。

④ 税制面での優遇

学資保険に支払う保険料は、生命保険料控除の対象になります。
所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円が控除されるため、実質的な節税効果があります。
また、多くのケースでは受け取る学資金が課税対象になることは少なく、税面でも有利な側面があります。

学資保険の5つのデメリット

① インフレに弱い

学資保険の受取額は契約時点で固定されるため、物価上昇(インフレ)には対応できません
大学の授業料は過去45年間で約15倍に上昇しており、教育費のインフレ率は年2〜3%とも言われます。

例えば、18年間で返戻率105%(年利換算で約0.27%)の学資保険を利用しても、
教育費の上昇ペースには追いつかず、将来の購買力が目減りしてしまう可能性があります。

② 機会損失のリスク

近年では新NISAのように、非課税で長期投資ができる制度が整っています。
学資保険のリターン(実質0〜1%)と比べると、投資による年3〜5%の利回りを狙える環境にあります。

つまり、学資保険を選ぶことで「より成長性のある資産運用機会」を逃すというデメリットも考えられます。

③ 途中解約時の元本割れ

特に加入から数年以内に解約した場合、支払った保険料より少ない解約返戻金しか戻らないケースが多いです。
契約初期は保険会社の事務手数料などが多く差し引かれるためで、
実際に「解約したら損をした」という声も少なくありません。

④ 流動性の低さ

基本的に受取時期(高校・大学入学時など)が決まっており、
それ以前に現金が必要になっても自由に引き出せません
急な出費が発生した際に対応できず、結果的に別のローンを使うこともあり得ます。

「教育費専用の貯蓄」と割り切って使う覚悟が必要です。

⑤ 受取時の課税リスク

保険料負担者と受取人が同一の場合は、一時所得として扱われる可能性があります。
ただし多くの場合は特別控除(50万円)内に収まり、実際の課税は少ないかゼロです。
ただし、祖父母が保険料を払い、親や子が受け取るケースでは贈与税が課される場合もあるため注意が必要です。

FP視点で見る「学資保険の本当のリスク」

多くの人が「学資保険=安全」と考えていますが、
真のリスクは“元本割れ”ではなく“インフレによる目標未達”にあります。

確かに名目金額は保証されていますが、
18年後にその金額で大学の学費を全て賄えるとは限りません。

つまり、

“安全性”の裏には“購買力の減少”というリスクが潜んでいる。

学資保険は「増やすための手段」ではなく、「確実に残すための手段」として位置づけることが重要です。

【まとめ】安全性は高いが、万能ではない

学資保険は、計画的に教育費を積み立てたい家庭にとって、確実性という大きな強みを持ちます。
しかし、低金利とインフレが続く今の時代、「安全=最適」ではないという現実も見逃せません。

次章では、学資保険の代替・補完手段として注目される「新NISA」との比較を通じて、
どのように教育資金戦略を立てるべきかを見ていきましょう。

第3章 NISAとの比較と活用戦略

学資保険と新NISA、どちらが教育資金づくりに向いている?

教育資金を準備する手段として、近年注目を集めているのが「新NISA(少額投資非課税制度)」です。
学資保険が“貯蓄+保障”を目的とするのに対し、NISAは“投資による資産成長”を目指します。

ここでは、学資保険とNISAをリスク・リターン・柔軟性などの観点から比較してみましょう。

学資保険 vs 新NISA:特徴の違い

項目学資保険新NISA(つみたて投資枠)
主目的元本保全・教育資金の確実な準備資産成長・インフレ対策
元本保証あり(契約内容による)なし(市場変動あり)
期待リターン約0.3〜1.0%(返戻率105〜120%)約3〜5%(運用成果による)
リスク低いがインフレに弱い高いがインフレに強い
税制優遇生命保険料控除あり運用益が非課税
流動性低い(解約ペナルティあり)高い(いつでも売却可)
途中リスク解約時の元本割れ市場の値下がりリスク
適する人リスクを取りたくない人、貯蓄が苦手な人長期投資に理解がある人、計画的に積立できる人

シミュレーションで見る「18年後の違い」

📊 ケース1:安定成長シナリオ

  • 子ども:0歳
  • 目標金額:500万円(大学費用)
  • 積立期間:18年

① 学資保険(返戻率115%)の場合
→ 月々22,000円前後の保険料で、18年後に約500万円。
実質年利:約0.7%。

② 新NISA(年率3%で運用)
→ 月々約17,800円の積立で、18年後に500万円。
同じ目的金額に対して、より少ない負担で達成可能です。

📉 ケース2:市場が暴落した場合

  • 16年目に株価が30%下落する“コロナ級ショック”を想定。

学資保険の影響:ゼロ
契約どおり満期金が支払われます。

NISAの影響:一時的に評価額が下がる可能性
ただし、3〜5年前からリスクを減らす「リバランス」を行えば、
安全資産へのシフトでダメージを最小限にできます。

NISAはリスク管理次第で“回復可能な資産”、
学資保険は“変動しない資産”といえます。

「定期保険+NISA」戦略という選択肢

近年、FPの間で注目されているのが「定期保険+NISA」の組み合わせです。
これは、「死亡保障」と「資産運用」を分離して設計する考え方です。

比較項目学資保険定期保険+NISA
月々の支出約8,000円(保険料に貯蓄含む)定期保険 約1,000円+NISA積立 約7,000円
親が生存満期金200万円(返戻率115%)約217万円(年率4%運用想定)
親が死亡満額受取保証(200万円)定期保険1,000万円+NISA残高

結果として、親が健在で市場が順調に成長した場合は「定期保険+NISA」のほうが効率的。
一方、親の万一や急な暴落への“安心感”を重視するなら、学資保険の方が優位です。

FPとして重要なのは、「どのリスクを、どの価格で引き受けるか」という視点です。

FPが考える最適解:両者を“組み合わせる”発想

多くの家庭にとって、学資保険かNISAかの二択ではなく、
併用」こそが現実的で安心な戦略です。

💡ハイブリッド戦略の考え方

  • 学資保険で「最低限の教育費」を確保(国公立大分など)
  • NISAで「上昇分・私立進学・留学費」などの成長分を補う
  • 両者の“得意分野”を掛け合わせることで、
     「確実性」と「成長性」を両立できる

【まとめ】どちらを選ぶかではなく「どう組み合わせるか」

学資保険は目標達成を保証する安心の仕組み
NISAはインフレに強い資産成長の手段

この二つは競合ではなく、補完関係にあります。
大切なのは、「どちらが得か」ではなく、

あなたの家庭がどんな“安心”を求めるか。

次章では、FPとして実際にどのように顧客へ提案していくか、
リスク許容度や貯蓄習慣に合わせた「戦略的フレームワーク」を紹介します。

第4章 FPが推奨する最適戦略

お金の性格も、人の性格もそれぞれ違う

教育資金の準備に「これが正解」という答えはありません。
なぜなら、お金の使い方には“人の性格”がそのまま表れるからです。

リスクを取るのが怖い人もいれば、将来に備えて積極的に投資したい人もいます。
大切なのは、「自分と家族に合った戦略」を選ぶこと。

ここでは、リスク許容度(どこまで変動を受け入れられるか)
貯蓄習慣(どの程度コツコツ続けられるか)の2軸で考えた最適戦略を紹介します。

タイプ別の4つの戦略フレームワーク

リスク許容度 × 貯蓄習慣おすすめ戦略特徴とアドバイス
① 低リスク × 低貯蓄学資保険中心プラン「強制的に貯める仕組み」で安心を確保。自動引き落としで確実に教育費を守る。
② 高リスク × 低貯蓄学資保険+NISAの併用プラン学資保険で“最低ライン”を守り、NISAで“成長分”を育てる。計画的積立を自動化するのがコツ。
③ 低リスク × 高貯蓄学資+預金・低リスク投資併用コツコツ貯める力がある人。学資保険で中核を固め、残りを預金・債券で分散。
④ 高リスク × 高貯蓄定期保険+NISAプラン保障は定期保険で安くカバーし、NISAで成長資産をつくる。運用管理に理解がある方向け。

平均的家庭におすすめの「ハイブリッド戦略」

多くの家庭にとって現実的で安心なのは、
学資保険とNISAを組み合わせた“ハイブリッド戦略”です。

🧩 仕組みの考え方

  1. 学資保険で最低限必要な教育費を保証
     → たとえば「国公立大学4年間分(約250〜300万円)」を学資保険で確保。
  2. NISAで教育費上昇分や私立進学リスクに備える
     → 物価上昇や教育費増を見越して、長期投資で資産を育てる。

この二層構造なら、
「確実性」と「成長性」を両立でき、家計全体の安定感が高まります。

FP視点で見るハイブリッド戦略のメリット

① 教育資金の“最低限ライン”が保証される

親の万一や景気変動があっても、学資保険の満期金で“教育の中断”を防げる。
NISA部分が思うように育たなくても、基本ラインは守られる安心感があります。

② インフレにも備えられる

学資保険では対応できないインフレリスクを、
NISAの株式リターンがカバーします。
物価上昇に強い資産を一部組み入れることで、実質的な購買力を維持できます。

③ 精神的な安心と成長の両立

教育費の準備は、長期戦です。
途中で不安になることもありますが、
「学資保険で守りつつ、NISAで育てる」設計なら、心にも余裕が生まれます。

投資は“心の余裕”がある人ほどうまくいく──。
ハイブリッド戦略は、まさにその安心の土台をつくる仕組みです。

FPとしての提案ポイント

のどかFP事務所では、教育資金の相談を受ける際、
まず「どんな未来を描きたいか」からお話を伺います。

数字だけではなく、

「この子にどんな学びの機会を与えたいか」
「家計にどんな安心を残したいか」

という“想い”の部分を重視しています。

その上で、学資保険・NISA・定期保険・預金など、
最適なバランスを一緒に設計していくのがFPの役割です。

【まとめ】安心を“仕組み化”するのが賢い教育資金設計

学資保険は「確実に残す力」、
NISAは「時間を味方にする力」。

どちらか一方ではなく、
両方をうまく組み合わせることで、教育費の不安は“安心の設計”へ変えられます。

最後の章では、この戦略を支えるFPの考え方──
「学資保険の進化する役割」について整理して締めくくります。

第5章 学資保険の進化する役割

「もう学資保険はいらない?」という声にどう向き合うか

SNSやマネー誌などで「学資保険はもう古い」「NISAで十分」という声を見かけることがあります。
確かに、超低金利の時代において、学資保険の“増やす力”は弱くなりました。

しかし、ここで見落としてはいけないのが、
学資保険が本来持っている「安心を保証する力」です。

教育資金づくりは単なる数字の問題ではなく、

“子どもの未来を途中で止めないための仕組み”
をどう作るか、という心の設計でもあります。

学資保険の現代的価値:「目標達成保証」という機能

学資保険の本質は、目標額を確実に達成させる仕組みにあります。

契約者(親)がもしもの時も、子どもの教育計画は止まらない。
また、マーケットが下がっても、受取金は契約どおり。

この“揺るがない確実性”は、どんな投資商品でも完全には再現できません。

学資保険は「リターンで勝つ商品」ではなく、

リスクを封じて、家族の安心を守る商品。
この役割を正しく理解すれば、「もう古い」どころか、今こそ価値が再評価されるべき仕組みです。

FPが提案する「学資保険+α」の未来型プラン

現代の教育資金設計では、学資保険単体よりも、複合戦略が主流になっています。

のどかFP事務所では、以下のような3ステップで提案を行います。

Step1:守りを固める(学資保険)

まずは、最低限必要な教育費(国公立大学レベル)を確実に準備できるラインを設定。
万一の事態にも備えられる安心の基盤をつくります。

Step2:育てる(NISA・積立投資)

物価上昇や学費高騰に備え、NISAなどの長期投資で上昇分をカバー。
リスク分散と時間分散で、“未来の購買力”を守ります。

Step3:見直す(ライフプラン更新)

教育費は一度決めたら終わりではありません。
子どもの進学や家計状況の変化に合わせて、定期的な見直しを行うことで、
無理なく続く「持続可能な教育資金設計」が完成します。

ファイナンシャル・プランナーの役割とは

FPの役割は、
「学資保険を売ること」でも「投資を勧めること」でもありません。

お客様の家族構成・価値観・ライフステージを丁寧に聞き取り、

“安心して子どもを送り出せる未来”を一緒に設計すること。

お金の知識は、人生をより豊かにするための道具です。
学資保険もNISAも、最終的にはその道具の一つ。
どちらを選ぶかではなく、「どう組み合わせるか」が大切です。

【まとめ】学資保険は“安心を仕組みに変える”ための道具

学資保険は、もはや「誰にでもおすすめできる万能商品」ではありません。
しかし、リスクを極力避けたい家庭や、確実に教育費を残したい家庭にとって、
これほど安心できる仕組みは他にありません。

💬「お金の不安をなくすこと」は、
 子どもの未来をまっすぐ応援できる力になる。

学資保険は、その“応援の仕組み”を形にするツールなのです。
そして、NISAや定期保険などの選択肢と組み合わせることで、
「守りながら育てる」教育資金戦略が完成します。

🌱 のどかFP事務所からのメッセージ

子どもの未来を思う気持ちは、どの家庭にも共通しています。
私たちは、その想いを数字に変え、「安心のかたち」にするお手伝いをしています。
もし教育資金の準備で迷っているなら、まずは一度、現状を見える化してみませんか?
きっと、“できること”が見えてくるはずです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次