Ⅰ. 親からの援助って、贈与税がかかるの?
「親から住宅資金を少し援助してもらおうと思っているんですけど……贈与税って、やっぱりかかりますよね?」
30代のご夫婦から、こうしたご相談を受けることが増えています。
家を建てる、家族の基盤をつくる――そんな人生の節目に、親世代が「応援したい」という気持ちを持つのは自然なことです。
けれど、「お金をもらう」と聞くと、どこか後ろめたさや不安を感じる人も多いでしょう。
「税金がかかったらどうしよう」「知らずに違反していたら怖い」
そんな“モヤモヤ”を抱えたまま話が進むと、本来の“ありがとう”の気持ちが薄れてしまいます。
ここで知っておきたいのが、「住宅取得等資金の贈与特例」です。
この制度を使えば、条件を満たすことで最大1,000万円まで非課税で贈与を受けられます。
つまり、
- 親からの応援を、安心して受け取る
- 税金の不安をなくして、住宅購入を前向きに進める
ことができる仕組みです。さらに、この制度は2026年(令和8年)末までの期間限定措置として延長されており、今まさにチャンスの時期といえます。
ただし、「非課税になる」と聞いても、すぐに安心するのは危険です。
実際には、
- 贈与する側・受け取る側の要件
- 住宅の種類や性能基準
- 契約・入居の期限
- 申告の有無
など、いくつもの条件をクリアしないと適用されないため、油断は禁物です。
一方で、正しく理解し、FPのサポートを受けながら手続きを進めれば、「贈与をきっかけに家族の絆を深める」きっかけにもなります。
本記事では、のどかFP事務所が実際のご相談現場で感じた“つまずきやすいポイント”を踏まえながら、
「失敗しない住宅資金贈与」の進め方をわかりやすく解説します。
不安を解きほぐし、確信をもって行動できるように——
ここから、一緒に整理していきましょう。
Ⅱ. まず押さえたい:この特例を使うと何が得?
「住宅取得等資金の贈与特例」は、一言でいえば“家を買う人への贈与税の特別ルール”です。
親や祖父母などの直系尊属から資金援助を受けた場合、一定の条件を満たせば最大1,000万円まで非課税になります。
たとえば、家の購入費に1,000万円を援助してもらっても、通常の贈与税がかからない。
それがこの制度の最大のメリットです。
制度の背景:2024年の税制改正で「価値が高まった」
実はこの制度、単なる「住宅購入支援」だけでなく、相続対策としての価値が非常に高まっています。
理由は、2024年の税制改正で「暦年贈与の相続加算期間」が3年から7年に延長されたためです。
つまり、一般的な贈与(年間110万円まで非課税)を繰り返しても、贈与者が7年以内に亡くなった場合には、その分が相続財産に戻されてしまう(=節税効果が減る)ことになります。
ところがこの特例は、相続開始前7年以内の贈与でも“持ち戻し対象外”。
そのため、贈与者の健康状態などから早めに資金移動を考えているご家庭にとっては、「最も安全に資産を移すことができる特別なルート」なのです。
FP視点で見た「3つの大きなメリット」
① 税金の不安を大幅に軽減できる
贈与税は、もらう側にとって心理的なハードルです。
この特例を活用すれば、制度の枠内で安心して支援を受けることができます。
② 相続のリスク対策になる
贈与した金額が将来の相続財産に加算されないため、相続税を見据えた「早めの資産移動」が実現します。
③ 家族の想いを“形”にできる
「自分たちの家を持つ」という夢を、親の応援で叶える。経済的な支援に加え、家族の気持ちが一つになる節目でもあります。
FPと一緒に考えると、こんな安心感が生まれます
相談者さまうちの親からもらう金額って、どのくらいまでなら大丈夫ですか?



お家の性能や名義の持ち方によっても違います。“非課税の範囲”と“実際の支払い計画”を一緒に整理しておくと、後で安心ですよ
のどかFP事務所では、単に「制度の説明」をするだけではありません。
税務リスク・相続への影響・住宅ローンとの兼ね合いまでを含め、
「家族みんなが安心できる贈与計画」を一緒に設計していきます。
Ⅲ. 失敗を防ぐ!FPが必ず確認する5つのポイント
制度を正しく理解して活用すれば、とても頼もしい「住宅取得等資金の贈与特例」。
しかし、注意点を知らずに進めてしまうと、あとで思わぬ税負担が発生することもあります。
ここでは、のどかFP事務所が実際のご相談で特に確認を欠かさない5つのポイントを紹介します。
① 「誰から誰へ」贈与できるかを確認する
この特例を使えるのは、直系尊属(親・祖父母)→子や孫への贈与に限られます。
つまり、義理の親(配偶者の父母)からの贈与は対象外です。
また、もらう側(受贈者)は贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること、
そしてその年の所得が2,000万円以下である必要があります。



うちの場合、親名義の口座から振り込んでもらうだけなら大丈夫ですか?



はい、問題ありません。ただし、贈与契約書を作っておくことをおすすめします。“誰から、いつ、いくらもらったか”を明確にしておくと、後々のトラブルを防げます
Ⅳ. 1,000万円枠の鍵:省エネ住宅の技術的要件と実務的ハードル
住宅資金の贈与で最大1,000万円の非課税枠を使えるかどうか――その分かれ道になるのが、「省エネ等住宅」という条件です。
この制度の本質を一言で言えば、「エコで質の高い住宅を建てる人を税制面で応援する」というもの。
ただし、2024年からは基準が厳しくなり、“名ばかりの省エネ住宅”では通用しない点に注意が必要です。
2024年以降の新基準:「断熱+一次エネ」どちらもクリアが必要
以前までは、次のどちらか一方を満たせば1,000万円枠を使えました。
・断熱等性能等級4以上
・一次エネルギー消費量等級4以上
しかし、2024年1月以降は基準が引き上げられ、
「断熱等性能等級5 かつ 一次エネルギー消費量等級6」の両方を満たさなければいけません。
つまり、条件が「または(OR)」から「かつ(AND)」に変わったのです。
これにより、ZEH(ゼッチ)と呼ばれる“エネルギー収支ゼロ住宅”レベルの性能が求められます。



ハウスメーカーから“うちは省エネ仕様ですよ”って言われたけど、これで大丈夫?



口頭説明だけでは不十分です。断熱等級5+一次エネ等級6を満たすことを、書類で確認する必要があります
証明書がなければ、1,000万円枠は使えない
省エネ等住宅であることを証明するためには、国が認めた第三者機関の証明書が必須です。
税務署は、メーカーのパンフレットや口頭の説明を一切認めません。
必要となる書類の例は以下の通りです。
- 住宅性能証明書
- 建設住宅性能評価書(写し)
- 長期優良住宅認定通知書(写し)
これらは国土交通大臣登録の評価機関が発行します。
発行には費用と時間がかかるため、契約前に必ず確認しておきましょう。



後からでも証明書を取れますか?



建築後にさかのぼって取得するのはほぼ不可能です。契約書や仕様書に“証明書を発行できること”を明記しておくのが安全です
経過措置がある場合もある
2024年以降の厳格な基準が適用されますが、次の条件を満たす場合は旧基準が使えます。
・2023年12月31日までに建築確認を受けている住宅
・または2024年6月30日までに建築が完了している住宅
この場合は、旧基準(等級4以上)でも1,000万円枠の適用が可能です。
つまり、建築確認済証の日付によって、必要な基準が変わるということです。
FPとしては、契約前に「建築確認済証の写し」をチェックし、日付を確認するようアドバイスします。
これだけで、後の手続きや税務判断がスムーズになります。
FPが行う“リスク管理”の実務ポイント
1,000万円枠を狙うなら、建築前の段階でFP・工務店・メーカーの三者連携が欠かせません。
- 契約前に「省エネ等住宅」証明書の発行可否を確認
- 追加費用の有無を事前に確認し、契約書へ明記
- 工事スケジュール(棟上げ・完成時期)をFPが把握
これらを怠ると、あとになって「証明書が出せません」と言われ、非課税枠が500万円に減ってしまうこともあります。
まとめ:1,000万円枠は「確認書類」がすべてを決める
- 2024年以降は「断熱等級5+一次エネ等級6」が条件
- 証明書の添付がなければ非課税枠は使えない
- 契約前にFP・メーカー間で要件を確認することが重要
この章で紹介した内容を意識するだけで、「制度の対象になると思っていたのに使えなかった」という失敗を防げます。
Ⅴ. 申告実務とペナルティ:絶対に失敗しないための手続き完全ガイド
「非課税って聞いたから、申告しなくても大丈夫ですよね?」
これは、実際のご相談でも最も多い誤解のひとつです。
結論から言うと――非課税でも必ず申告が必要です。
これを怠ると、後から多額の追徴課税を受ける可能性があります。
申告の基本ルールを押さえよう
「住宅取得等資金の贈与特例」を利用する場合、たとえ納税額がゼロでも贈与税の申告が義務です。
- 申告期間:贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日
- 申告先:受贈者(もらった人)の住所地を管轄する税務署
この申告が完了して初めて、「非課税扱い」が正式に認められます。
つまり、申告していない=特例を使っていないのと同じ状態になるのです。
申告に必要な書類チェックリスト
- 贈与税の申告書(非課税の特例を適用する旨を記載)
- 受贈者の戸籍謄本(贈与者との関係証明)
- 受贈者の源泉徴収票(所得が2,000万円以下であることの証明)
- 住宅の売買契約書または工事請負契約書(取得金額・契約日)
- 登記事項証明書(床面積や居住の事実を確認)
- (1,000万円枠の場合)住宅性能証明書などの公的証明書



申告直前にあわてて書類を探す方が多いですが、贈与契約時からファイルで整理しておくのがポイントです。
もし申告を忘れたらどうなる?
申告をしなかった場合、「非課税特例の適用なし」とみなされ、受け取った金額の全額に贈与税が課税されます。
たとえば、親から1,000万円を受け取った場合――
本来ならゼロ円のはずが、追徴で200万円以上課税されるケースも珍しくありません。
よくある申告ミスとFPの予防策
① 贈与契約書がない
→ 金銭の授受を証明できず、税務署に否認されるケース。
対策:契約書を2部作成し、双方が署名・保管。
② 贈与額を使い切っていない
→ 使い残し分が課税対象になる。
対策:贈与額=契約書に基づく実際の支出に合わせる。
③ 入居が期限内に完了していない
→ 翌年3月15日・12月31日の期限を過ぎると対象外。
対策:工期と贈与時期をFPがチェック。
FPのサポートがあると安心できる理由
税金の申告は「書類を出すだけ」ではなく、“条件を満たしたことを証明するプロセス”です。
FPが関与することで、
- 申告前に必要書類・期限をチェックできる
- 贈与契約や住宅性能証明の不備を早期に発見できる
- ローン控除や相続対策との整合性を確保できる
のどかFP事務所では、税理士や司法書士とも連携しながら、
「もらって終わり」ではなく「安心して受け取れる」贈与をサポートしています。
まとめ:申告こそが「非課税」の条件
非課税にするための最後のステップは、申告です。
ここを正しく行うことで、制度の恩恵を確実に受けることができます。
FPに相談しながら、期限内に確実な申告を。
それが、贈与を“安心”に変える最も確実な方法です。
Ⅵ. FPが教える税制間連携:住宅ローン控除・相続対策との併用戦略
住宅取得等資金の贈与特例は、それ単体で使うよりも、他の制度と組み合わせることでより効果を発揮します。
ここでは、FPが実際の相談で活用している3つの組み合わせ戦略を紹介します。
① 住宅ローン控除との併用で起こる“トレードオフ”
まず知っておきたいのは、住宅ローン控除と贈与特例は併用可能であるということです。
ただし、両方を使うときには“思わぬ計算ルール”に注意が必要です。
住宅ローン控除では、控除額の計算に使う「住宅取得費用」から、非課税で受け取った贈与金額を差し引く必要があります。
たとえば、住宅価格5,000万円のうち1,000万円を贈与でまかなった場合、控除対象は残りの4,000万円です。
つまり、贈与を受けた分だけローン控除の対象金額が減る仕組みです。



贈与を受けたほうが得だと思ってました!



実は、ローン控除の総額が減る可能性もあるんです。税金の優遇は“どちらを優先するか”のバランスが大切なんですよ
FPとしては、ローン控除の13年間分と贈与特例の即時節税効果を比較し、どちらがライフプラン全体で有利かを試算してお伝えします。
② 暦年贈与(110万円控除)との併用で“節税の幅”を広げる
次に、「毎年110万円まで非課税」の暦年贈与との関係です。
この2つの制度は別枠で併用可能です。
つまり、同じ年に
・住宅資金の贈与特例で1,000万円
・通常の暦年贈与で110万円
を受け取ってもOKです。
また、住宅取得資金の贈与特例は相続財産への“持ち戻し対象外”。
一方で暦年贈与は「死亡前7年以内」の分が相続財産に戻されます。
👨💼FPの視点では、こう整理されます:
- 相続税がかかる可能性がある → 特例(1,000万円)を優先
- 長期的に毎年コツコツ贈与できる → 暦年贈与も並行
つまり、「特例でまとめて」「暦年で積み上げる」という二段構えの戦略が最も効率的です。
③ 相続時精算課税との比較:慎重さが求められる選択
「相続時精算課税制度」は、2,500万円までの贈与が非課税になる仕組みです。
一見お得そうに見えますが、仕組みをよく理解しておく必要があります。
この制度を使うと、贈与した金額は相続時にすべて再計算(精算)されます。
また、一度この制度を選ぶと、同じ贈与者(親など)との間では二度と暦年贈与に戻れません。



じゃあ、相続時精算課税を使えば全部非課税ってことですか?



違うんです。非課税なのは“今の時点”だけで、相続のときにもう一度まとめて計算されるんですよ。
この制度が有効なのは、将来的にも相続税がかからない世帯に限られます。
FPとしては、相続財産の全体像を把握し、他の控除(小規模宅地等の特例など)への影響も考慮して判断します。
FPが提案する“3ステップ戦略”
① 現状分析:親の財産構成・健康状態・相続見込みを整理
② シミュレーション:贈与額・ローン控除・相続税の3要素を比較
③ 実行サポート:贈与契約・証明書・申告をFPが伴走
これにより、「今の節税」と「将来の安心」を両立できます。



税制は毎年少しずつ変わります。
その中で本当に大切なのは、「制度をどう使うか」より「家族の目的に合っているか」です
Ⅶ. よくある失敗とグレーゾーン:FPが教えるトラブル予防策
ここまで制度を理解してきたところで、実際の現場で起こりやすい「勘違い」や「思わぬ落とし穴」を見ていきましょう。
のどかFP事務所の相談でも、制度の使い方そのものより「使い方を間違えたことによるトラブル」が圧倒的に多いのが実情です。
① 贈与金を「少しだけ使い残す」と課税対象に
「1,000万円をもらって、950万円しか使わなかった」というケース。
残りの50万円をそのまま手元に残すと、その分は特例の対象外となります。



少しくらい余ってもいいですよね?



“全額を住宅の取得に充てたこと”が条件です。余った分は課税対象になるので、贈与額は契約金額に合わせて設定しましょう
② 「住宅取得資金」の範囲を誤解している
仲介手数料・登記費用・火災保険料・家具家電の購入費は原則対象外です。
贈与金は建物や土地の代金に充てるのが基本です。



親からの贈与で家具も買っていいですか?



家具や保険は“家そのもの”の取得ではないので対象外です。
不動産会社や工務店への支払いに限定しましょう。
③ 名義と資金のバランスが合っていない
「4,000万円の家を子どもの単独名義で購入し、親が1,000万円を援助」
この場合、税務署から“親の負担分の持分を贈与した”とみなされるリスクがあります。



でも、名義は子どもだけにしたいんです



その場合は、“金銭の贈与”として契約書を作り、親の口座→子の口座→売主への支払いを明確にしましょう
④ 契約書や証明書が後回しになっている
制度上の手続きよりも、「書類の遅れ」が最大のリスクです。
贈与契約書の作成や住宅性能証明書の取得は必ず前もって行いましょう。
FPは「贈与 → 契約 → 入居 → 申告」までの流れを時系列で管理し、申告漏れを防ぎます。
⑤ “うっかり”を防ぐためのFP流チェックリスト
□ 贈与契約書を作成し、双方が署名・保管した
□ 贈与資金は専用口座を開設して受け取った
□ 贈与金は建物・土地の対価に全額充当した
□ 登記上の持分割合と資金割合が一致している
□ 省エネ住宅の証明書を契約前に確認した
□ 翌年3月15日までに申告を完了した
この6つをクリアしていれば、ほぼすべてのトラブルを未然に防ぐことができます。
Ⅷ. まとめ:FPが伴走する安心の贈与ステップ
ここまで見てきたように、「住宅取得等資金の贈与特例」は、親からの想いを形にし、家族の未来を支える大切な制度です。
しかし、制度そのものを知っているだけでは不十分。
実際に活用していくには、時期・書類・名義・相続といった複雑な条件を一つずつ整える必要があります。
そのためにこそ、FP(ファイナンシャル・プランナー)の存在があります。
FPが支える「安心の贈与ステップ」
① ヒアリング:家族構成や贈与の目的、住宅購入の時期などを丁寧に伺います。
② シミュレーション:贈与特例、住宅ローン控除、相続時精算課税などを比較。
③ 実行サポート:贈与契約書の作成、証明書の確認、申告スケジュールの管理まで伴走。
FPは、複雑な手続きを“見える化”しながら、最後まで寄り添います。
FPと一緒に歩むことで得られる安心



制度は理解したけど、やっぱり自分だけでは不安で……



大丈夫です。焦らず一緒に整理していきましょう。“正しく知ること”が、安心の第一歩です
贈与は「お金」だけでなく、「想い」を引き継ぐ行為でもあります。
だからこそ、慎重に、でも前向きに進めていきたい——
その気持ちに寄り添いながら、のどかFP事務所はお手伝いします。
最後に:今こそ、安心の一歩を
制度は2026年末までの期間限定です。
「そのうち考えよう」と思っているうちに、タイミングを逃してしまうこともあります。
贈与をきっかけに、家族の未来を一緒に描きましょう。
のどかFP事務所では、初回相談(オンライン・対面)どちらも対応しております。
気軽にご相談ください。








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